九州より少し大きいぐらいの面積で、人口は60万人程度。また、国民はゴ(khos)やキラ(kiras)という民族衣装
を身につけることが義務付けられている。また、ゾン(Dzongs)と呼ばれる王城が特徴的だ。また、航空便があまり
ないこともあり、観光客も年に約4000人程度である。国旗には龍(Druk)が描かれている。
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秘境ブータン

日程:11月28日〜12月3日
行程:11月28日 関空⇒タイ・バンコク⇒インド・ニューデリー、29日ニューデリーで会議、30日インド・ニューデリー⇒ブータン(パロ⇒チンプー)、12月1日チ
ンプー⇒パロ、2日パロ⇒バンコク⇒ 3日早朝関空

●ブータンという国
あまり馴染みがない国かもしれないが、ヒマラヤ山脈の東の端にこの国がある。北はチベット(中国)、南はインドと大国にはさまれており、過去にはチベットか
らの侵攻という歴史もあったようだ。言語はゾンカ語であるが、チベット語に近いようだ。まったくの仏教国であるが、近年まで鎖国状態だったこともあり、オリジ
ナルな仏教文化が残っている。また、国土のほとんどが山岳地帯であるため、交通網の整備が非常に遅れており、水道普及率も7割程度だ。首都のチンプ
ーは2400m、空港があるパロは標高2300mぐらいであり、冬の夜はかなり冷え込み、12月初旬で氷点下5度ぐらいまで下がる。最も寒い時期では、氷点
下20度ぐらいまで下がるそうだ。


●ブータンに入国するには
ブータンの入国許可証を入手するには、ブータンへの航空券のほか、宿泊費、ガイド代、食事代をすべて支払った上でないと発行されない(ガイドは必ずつ
く。日本語を喋れるガイドならプラス2万円)。日本国内では3社がブータンへの手配を扱っているようだが、大手旅行会社でも手数料さえ払えば仲介してく
れる。ただし、入国許可書は日本では発行できないため、タイかインドで入手することになる。大手旅行会社なら提携している、タイかインドの現地旅行会社
から許可書を入手し、日本へ輸送してくれる。申請してから約10日で入国許可書が発行されるが、私の場合は、急遽、行くことが決まったこともあり、ギリギ
リのタイミングであった。よって、日本出国の日に許可が下り、ニューデリー滞在時にインドの旅行会社(TCI:Travel Corporation India)まで取りに行った。T
CIには日本語も喋れるスタッフもいたし、すごく親切に対応してくれた。そこで許可書とブータンへのチケットを入手することができた。

●世界唯一の禁煙国家
タバコを吸う人はかなりきついかもしれない(私もそうだが)。2004年12月から国内全面禁煙となった世界で唯一の国だ。公衆の場での喫煙は一切違法に
なった。ほんとか?と思っていたが、パロ空港でタバコ持ってるか?と聞かれ、8パックを申告すると、3000円の関税を取られた。せっかく関空で安いタバコを買っ
たのに、ここでタバコ代以上の税金をとられるわけだ。そして、国内ではタバコはまったく売っていない。長期滞在する喫煙家はかなりつらいだろう。ただ、ブータ
ンに入国してガイドに吸ってもいいか?と聞くとすんなりOKされ、空港の外で吸った。また、街中では自由に吸っていいし、ホテルの部屋でも灰皿が置いてい
る。ただし、レストランやホテルロビーなど建物の中はすべて禁煙となっている。なお、街を歩いていると、タバコを吸っている人を2人見かけた。その人たちは、イ
ンドでタバコを買って持ってきているか、それか密輸らしい。全面禁煙にするのも、考えものだと思った。

●ブータンまでの道のり
今回は、インドから入ったため、ブータンの航空会社、ドウルックエアライン(ドウルックは龍の意味)に乗り、カトマンズ(ネパール)経由、ブータン・パロ行きだっ
た。このコースは、世界でも屈指の航空路ではないかと思う。ニューデリーを飛び立ってしばらくはインドの平原が続くが、だんだんとヒマラヤが見えてくる。カトマ
ンズに近づくと、高い山々が迫ってきて、その上を飛び始める。そして旋回しながら降下したと思うと、のどかな山岳の集落が見え、カトマンズに降り立つ。そこ
までもかなり興奮したのだが、カトマンズからがさらに素晴らしい!今回は景色がいいだろうと思って、窓際のA席(進行方向に向かって左)を指定したのがよか
った。カトマンズから10分から15分ぐらい飛ぶと、エベレストが眼下に見えてきたのだ。しかもかなり接近している。こんなに景色のいい風景を飛行機から見れる
のは、今まであまりない。しこたま写真を撮った。エベレストを過ぎてしばらく行くと、パロ盆地に向かって山の間を縫うように降下する。
国内には空港はひとつしかなく、パロという街にある。これは首都のチンプーは山に囲まれているため、空港が建設できないという理由が大きい。窓の外には飛
行機より高いところに山があり、ここで突風などが吹けば・・・と考えるとぞっとしたが、さすがに慣れたパイロット、難なく空港に着陸。パロは盆地になっているも
のの、山に囲まれているため、山を縫うように降下し、離陸時も飛び立ってすぐに迂回しないと山にぶつかる可能性がある。パイロットは緊張の連続だろうと想
像する。なお、帰りはパロ⇒コルカタ(カルカッタ)経由⇒バンコクという経路でドウルックエアで帰国。

  
(左・中)カトマンズ着陸直前の山々。 (右)カトマンズを飛び立ってしばらく経つとエベレストが見える。美しく、また感動だ!

●パロ(Paro)空港
ブータン唯一の空港。よって、唯一の国際線空港。空港といっても、1日1便程度。国営のドルックエアラインは2004年10月にエアバスを導入して輸送力が
大幅にアップした。昔は格納庫もなかったようだが、今は新しそうな格納庫ができていた。タイ航空と提携しており、バンコクで整備されているようだ。なお、路
線は、デリー⇔カトマンズ⇔パロ、パロ⇔コルカタ⇔バンコクがある。
 
(左)これがドウルックエアラインの飛行機。2004年10月にエアバスA319を導入した。尾翼には国旗(白い龍)がペイントされている。
(右)パロ空港。どこの空港?と思うが、立派な国際空港だ。ブータン唯一の空港であり、唯一の国際空港。

●パロ(Paro)
唯一の空港がある街といっても、ほんとうにこじんまりした田舎町という感じ。ブータンに行く場合、インドからの陸路でない限り、ほとんどの旅行者がこの街にく
ることになるのだろう。メインストリートといっても、5分ほど歩けば端から端までいける。パロゾンに行けば、政治と宗教の中心地というだけあって僧侶が暮らして
いることもあり、威厳を感じる。そして、パロから西に行けば、タクツアン寺院やドウゲゾン(Drugyel Dzong)というブータンでも屈指の観光地がある。
  
(左)パロ・ゾン(Paro Dzong)。このようなゾンは17世紀に全国を統制するための戦略的、政治的拠点として整備された要塞である。現在は地方行政機関
と寺院が半分ずつ使用しており、政教一致体制となっている。中に入ると僧侶とよく会った。
(右)パロ・ゾンの上からの眺め。パロ川が綺麗に見えて、のどかな風景に癒される。ぼーっとしていたい場所だ。

 
(左)パロ・ゾンに入るとこの輪廻図が迎えてくれる。人、畜生、餓鬼、地獄、修羅、天の6つの世界を描いている。まさに仏教という感じ。
(右)パロ盆地。パロのホテルはどのホテルも高台にあるため、パロ盆地が綺麗に見える。朝散歩すると朝陽が差して非常に綺麗だ。奥には高い山が見える。

 
(左)パロのメインストリート。5分ほど歩けば通り抜けることができるぐらいの距離。商店が多い。奥にはパロ・ゾンが見える。
(右)メインストリートの商店。雑貨屋という感じ。のんびりと商売しているように見える。

  
(左)パロ近郊の一大観光地ともいえるタクツアン(Taktshang)僧院。どこ?って感じだが、山の中腹の岩のことろに寺院がある(白っぽいもの)。寺院まで行
こうと思えば3時間歩かなければならない。ブータンに初めて仏教を広めたといわれるパドマサンババが虎の背中に乗って飛んできて、ここに降り立ったと言われ
ている。タクツアンとは、「虎のねぐら」という意味がある。
(右)一番のお勧めというべきドウゲ・ゾン(Drugyel Dzong)。ここはチベットと接しており、度重なるチベット軍の侵攻があったところ。17世紀、チベット軍に勝っ
たが次の侵攻に備えるためにこの城砦を建設した(右の小高い山の上の建物)。しかし残念ながら1951年に火災にあってゾンが焼け落ちてしまった。

  
(左)ドウゲ・ゾンから見えるブータンで2番目に高いチョモラリ(Jomolhari)。さすがヒマラヤ山脈にあるだけあって、この山は7326mもある。なお、この山の左
側にはチベットに通じる道があるようだが、中国との関係から現在は閉鎖されている。ガイドによると不法にいける道はあるようだ。なお、チョモラリに関する登山
記録でこんなページもある。
(右)夕暮れ時のドウゲ・ゾン。焼け落ちた城と夕暮れがマッチして、哀愁が漂う。散策していても景色もいいし、城の雰囲気もいいし最高であった。


●チンプー(Thimphu)
首都、といってものどかな山間部の街だ。世界でもこのような無防備な首都は珍しいのではないだろうか。俗世界からある種、隔離された空間となっており、
それだけ秘境という感じもする。そして、街を歩いていても、みんな穏やかな生活を送っているように感じ、これが幸せなのかと思ってしまう。街並みも高層ビル
などは一切なしで、昔ながらのブータン建築によった建物が、ずらっと並んでいる。歩いていて、安心できる街だ。

 
(左)チンプーのメインストリート。チンプーには信号がなく、この道の真ん中のボックスに警察官が入り交通整理を行っている。信号がなくても、事故は少ない
ようだ。
(右)泊まったPhuntsho Pelriホテル。ブータン最大手旅行会社、ブータン・ツーリズム・コーポレーション系列のホテル。2006年夏に出来たばっかりなようで、
かなり新しい。インターネット(有料)もできる。

 
(左)チンプー市内を一望できるSangaygang。中心部から車で15分ほど行ったところ。
(右)国立図書館。残念ながら金曜日は休館日だった。

 
(左)タンチョ・ゾン。国王のオフィスであり、ブータン仏教の総本山。かなり広いため遠くから見なければ全体像がわからない。17時以降から日没まで一般開
放される。この横にはゴルフコースもあり、ブータンでも裕福な人がゴルフを楽しんでいるようだ。
(右)製紙工場からチンプー市内の眺め。

 
(左)チンプーからパロの途中に、パロ川とチンプー川の合流点のチュゾムがある。ここは、ブータン東部、南部(インド)、西部に向かう道が交差しており、交通
の要衝だ。そのためすべての車は停止し政府のチェックを受けなくてはならない。写真では見えにくいが、ネパール式、チベット式、ブータン式の3つのチョルテン
(仏塔)が川の右側に並んで建っている。
(右)チュゾムを過ぎて、パロに向かう間のパロ川沿いの風景。かなり険しい山が両側に迫っており、この川沿いを縫うように道が続いている。
【参考にしたホームページ】
ようこそブータンへ
外務省
Kingdom of Bhutan
日本ブータン友好協会
Bhutan Portal
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