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「「三国志」歴史紀行」
きょう学孺著 人民中国雑誌社日本語部翻訳 人民中国雑誌社 尚文社ジャパン共同企画 1994
年10月 1,800円(税込み) '04/11/5掲載 |
やはりこの本は三国遺跡シリーズでは最高峰であり、バイブルのようなものだ。作者のきょう学孺氏が60歳
間際で3年の年月をかけて14の省、100余りの遺跡都市をまわり、命懸けで取材したものをまとめたもの
だ。近年での三国志遺跡めぐりの火付け役でもあり、原点である。作者は高齢であるが、これだけ精力的
に遺跡廻りをしているんだから、自分でもできる、と勇気をくれる。内容は人民日報に1991年1月から1993
年10月に連載され、それを日本語訳したもの。全32回であるが、三国志の史実にあわせて順を追って遺
跡紹介している。私が行くときは、該当ページを何回も読み、しかもコピーして必ず持っていく。現地で読み
返し、その遺跡の背景などを再度理解できる。なお、著者の「きょう」という字は「龍の下に共」と書く。
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「三国志の大地」
雑喉 潤(ざこう じゅん)著 竹内書店新社 2001年7月 1,800円+税 '04/11/5掲載 |
10数年かけて三国志の遺跡を踏破した作者(元新聞社で今は教授)が、その記録を独特の表現で紹
介していく本で値ごろ感もある。立間祥介教授の影響を強く受けている。白黒写真だが、全ページ上段に
写真を掲載し、下段に紀行文を掲載しており読みやすい。三国志遺跡紹介本では、最も遺跡数が多い
のではないかと思われる。省・都市別、人物別の遺跡索引もあり使い勝手もよい。メジャー級からマイナー
級までかなりの数が紹介されており、同じ遺跡でも何回か行っている場所は、その経緯も紹介され、最近
の三国志遺跡ブームが読み取れる。この作者もかなりの入れ込みようで、正史と演義の両方に関連する
遺跡を比較しつつ解説しているので大変わかりやすい。遺跡にいって曹操、劉備、諸葛亮などを偲ぶ気
持ちはよくわかる。ハードカバーなので、旅行時に持っていくにはつらいものがあるが、事前勉強にはもってこ
いの本だ。ただ、アクセス時間を記載しているが、この作者はツアーを組んでいるので、個人旅行をする場
合には留意する必要があるだろう。 |
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「図説 三国志の世界」
劉〔火+韋〕(編著)氣賀澤保規(編訳) 大修館書店 2001年6月 9,800円+税 '04/11/5掲載 |
大型の豪華本であり写真も大きく見やすい。臨場感あふれる写真と、優れた考証内容や、随所に入って
いる地図で地理関係もよくわかり、かなり満足できる本だ。紹介遺跡数はそれほど多くないものの、地図と
文章を合わせて見ると、その土地の理解が深まり、行くときの参考になる本だ。行く前には必ず見ておきた
い本である。ただ、かなり高いのがネックだ。
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「世界歴史の旅 三国志の舞台」
渡邉義浩・田中靖彦著 山川出版社 2004年8月 2,500円+税 '04/11/5掲載 |
ページ数も100ページそこそこでコンパクトなため読みやすい。三国遺跡の要所を押さえており、各都市ごと
に三国遺跡の場所が地図で入っているのがありがたい。実際に三国遺跡に行くときにも、持っていけるぐら
いの大きさだし、地図は利用価値が高そうだ。写真はカラーであるが、すべての遺跡の写真がないのが残
念だ。他の本に比べると考証が劣るものの、十分参考になる。
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「カラー版写真紀行 三国志の風景」
小松健一著 岩波新書 2004年1月 1,100円+税 '04/11/5掲載 |
写真家による三国志史跡の紀行文。初版が1995年9月であることから写真は若干古い。三国志史跡に
行くための情報本というよりは、「こんなところに行きたい!」と思わせる本である。写真は三国志史跡を正
面から撮るのではなく、写真家らしい別のアングルで撮影しているところがいい。それと本書の最大の特徴で
ある、遺跡の周りに暮らしている人たちの表情が沢山掲載されている。取材も精力的で、現地の方々に
深く入り込んで、中には家にお邪魔したりしているエピソードも興味深い。それ以外にも、取材旅行時の交
通事故やガイドの恋愛につき合わされるなどの失敗談も掲載されていて、中国旅行の醍醐味!?も感じ
ることができ同情できる。最後に掲載されている井波律子の「民衆世界の三国志」はおまけにしては読ん
でておもしろい。三国志に精通した井波氏の切り口で、三国志平話を中心に解説している。 |
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「三国志 英雄の舞台」
川田秀文、寺尾善雄著 旺文社 1987年3月 2,400円(税金なしの時代) '04/11/5掲載 |
まだ学生の頃、この本を見たときから三国志のファンだったのかもしれない。中国には三国志というこんなに
面白いものがあるのか、と思った記憶がある。私が知っているなかでは、最も古い三国志遺跡本であるが、
中の写真も素晴らしい。特に白帝城から瞿塘峡を撮影している写真が印象に残っており、将来ここに必ず
行くんだ!というのが夢であった。その夢も今では実現できたということだ。今からこの本を見てみると、今の経
済発展前の中国が撮影されており、懐かしい感じもする。
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「ビジュアル三国志」
世界文化社 2004年4月発行(毎週木曜日発行) 27,760円(全49巻) '04/12/4掲載 |
ここまで本格的に三国志を扱った本は今までになかったのではないだろうか!?三国遺跡紹介、コミック三
国志、都市ガイド、三国志戦略クロニカルなど、読み込めば盛りだくさんだ。コミック三国志は石森章太郎
プロの独特の顔や表情が気に入った。三国遺跡もかなりの数の遺跡を紹介しており、またA4大判のため
写真もでかく鮮明だ。しかし何号まで続くのだろうか?現在、36号まで。
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「歴史群像シリーズ 三国志(上・下)」
学習研究社 2003年10月 各1,165円+税 '04/12/4掲載 |
おなじみ学研の歴史群像シリーズ。第21刷というからすごい人気なんだろう。ちなみに初刷は1990年4
月。戦いの様子や武器など、三国志を歴史的な見地から解説している。最も嬉しいのは付録にある三国
志地図だ。三国時代の名称と現在の主要都市が書いているので、非常にわかりやすい。
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